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技術コラム第21回:函館の歴史資料を用いた市民に新たな発見がある写真検索システム

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函館の歴史資料を用いた市民に新たな発見がある写真検索システム」でアイデア部門最優秀賞を受賞された高橋正輝さんから、メッセージをいただきました。

 

公立はこだて未来大学では、「函館市を中心とする函館圏地域の文化財をデジタル化して活用するための事業を、公立はこだて未来大学が担うことで、情報技術を活用した地域の文化発信の拠点をつくる」というねらいのもと、2010年度にデジタルアーカイブ研究センターを設置しました。また、同年度から、函館市の大量の歴史資料を所蔵する函館市中央図書館と連携し、デジタルアーカイブCMSの構築を進めてきました。現在、写真(絵葉書)や地図、ポスターなどの蓄積された画像データを目録(メタデータ)と併せて「函館市図書館所蔵デジタルアーカイブ デジタル資料館」で公開しています。この大量のデータを活用して、新たなコンテンツを作るための仕組みを構築するというテーマへの取り組みの中でLinked Open Dataに着目しました。

 

LODチャレンジ2012のアイデア部門において最優秀賞を頂いた「函館の歴史資料を用いた市民に新たな発見がある写真検索システム」は、函館のデジタルアーカイブにおける一万点以上の膨大な写真から、市民が懐かしさを感じることや、函館の歴史について意外な事実を知あることができる写真の検索の仕組みです。写真だけでなく、他の施設で所有する文献資料のような散在する歴史資料をLOD化することで、写真のメタデータや文献資料に記述された日付や人物名がリンクします。そのリンクを利用し、市民の属性情報や検索キーワードの入力をクエリにSPARQLで関連を辿り、関連付けられた写真を提示するシステムの構築を目指しています。

 

 システム概要

 

このような賞をいただけたのも、研究資料を提供してくださっている函館市のみなさまのおかげです。また、LODチャレンジ2012に函館の観光情報LODのエントリーを目指し、一年間共にLODの知識ゼロの状態からLODの取り組みや技術について学んだ高度ICT演習観光系プロジェクトに感謝しています。昨年12月の「LODチャレンジデーinはこだて」では、ゲストのみなさまにLODを通した地域活性化をテーマにディスカッションしていただき、貴重な知見を得る事ができました。LODの活動から、様々な人々との関係を築くことができ、このような成果に結びつけることができたことをとても嬉しく思っています。今後も、このアイデアを実現することを目指すだけでなく、地域の人々に価値のあるデータの公開・活用に取り組んで行きたいです。

 

公立はこだて未来大学 高橋 正輝

Written by lod-committee

4月 1st, 2013 at 12:06 pm

技術コラム第18回:東日本大震災アーカイブ

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東日本大震災アーカイブ」でビジュアライゼーション部門最優秀賞を受賞された渡邉英徳さんから、メッセージをいただきました。

 

 

■多元的デジタルアーカイブズ・シリーズ

私たちはこれまでに、散逸していく歴史資料を収集し、デジタル・アース上の仮想空間に集積して公開する「多元的デジタルアーカイブズ」を構築してきました。これらの目的は、非公開資料をオープンデータ化し、資料間の時空間的な関連性を提示することによって、事象についての多面的な理解を促すことです。

 

第一作「ツバル・ビジュアライゼーション・プロジェクト」の制作は、ツバルの写真家、遠藤秀一氏との出会いがきっかけでした。さらに長崎出身の被爆三世、鳥巣智行さん・大瀬良亮さんからのオファーで「ナガサキ・アーカイブ」が制作されました。その後「ヒロシマ・アーカイブ」「沖縄平和学習アーカイブ」と、一連のアーカイブズ・シリーズが制作されてきました。

 

■記憶のコミュニティ

デジタル技術だけではアーカイブズを構築できませんでした。資料の利用については、収蔵施設の許可を受けなければなりません。証言については、新規にインタビューを行なうとともに、ウェブ公開許諾を得る必要があります。何よりも、制作活動を進めるための大前提として、地元の理解を得なければなりませんでした。

 

そのために、高齢の証言者と学生・生徒たちが手を取り合いながら記録保存活動を進める「記憶のコミュニティ」が形成されていきました。この「記憶のコミュニティ」は、過去のできごとを語り継ぐ人々を世代を越えて繋ぎながら、組織・施設の裡に閉ざされていた資料をオープンデータ化し、世界に向けて開くはたらきを担っています。

 

■東日本大震災後の活動と今後の展望

2011年3月11日の東日本大震災発生後、私たちは応急的な支援コンテンツを多数リリースしました。これらのコンテンツを制作したクリエイターのコミュニティはオンラインで形成されました。LODチャレンジにてビジュアライゼーション部門最優秀賞を受賞した「東日本大震災アーカイブ」、そして「震災ビッグデータの可視化コンテンツ」も、ソーシャルメディア上のつながりが育んだものです。

 

ナガサキ・ヒロシマをはじめとする戦史のアーカイブズ・シリーズは、対面のコミュニケーションをベースとして構築されたものでした。それに対して、震災関連のプロジェクトにおけるオンラインのつながりは、私たちの時代に起きた災害についての活動ならではの、あらたな「記憶のコミュニティ」の在り方と言えます。

 

アーカイブズ・シリーズの構築において形成された「記憶のコミュニティ」は、社会的な柵を越えて資料をオープンデータ化し、未来に向かって継承するはたらきを持つと考えられます。しかし、そのちからが存分に発揮されるための要件ははっきりしていません。これを顕らかにし、未来の社会に向けて提案していくことが、筆者の次の仕事です。

 

首都大学東京 渡邉英徳

Written by lod-committee

3月 18th, 2013 at 6:08 pm

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